ケアマネ受験対策講座(1)

介護支援専門員の試験まで3ヶ月(今年の試験日は10月2日)となってしまいましたね。
けあさぽりんくでは、HPで介護支援専門員の受験対策講座を開始することとしました。
週1回ペースで載せていきたいと思います。(奥田)

受験対策講座は、介護新聞始め様々なところで行っていますので、このページでは過去問から振り返る形式で行っていきたいと思います。ですから、テキストでがっちり勉強することが前提で、このページはあくまで応用的な勉強と捉えて下さい。
昨年は難しい問題が多かったですね。合格率も過去最低に近く15.6%で、合格基準が介護支援分野では52%と低かったにも関わらず、合格者数は過去最低の20,924人でした。まあ、合格者数を見込んで合格基準を決めるので、だいたい2万人前後にしているのでしょう。
昨年は、各サービスの基準のこまかなところが出ました。基本テキストには載っていない内容でした(正確にいえば、付録のCD-ROM(法令・通知)には載っていましたが)。今年もこの傾向は続くでしょう。各サービスの基本的な基準についても触れていきたいと思います。
なお、昨年より更に充実した受験対策テキストを作成しました。医療福祉の専門分野も含め過去問7年間を完全掲載し、専門分野の解説も充実しております。定価1500円です。ご希望の方は、けあさぽりんくにメール・FAX・電話でお申し込み下さい。受験対策講座も8月より開催します。詳細はHPの投稿をご参照ください。

では第1回目です。まずは昨年の問題を振り返りつつ勉強しましょう。

問題1 介護保険法に定める保健福祉事業として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 指定居宅介護支援の事業
2 介護保険施設の運営事業
3 日常生活自立支援事業
4 指定地域相談支援事業
5 要介護被保険者を現に介護する者の支援のために必要な事業

のっけから難しい問題がでました。保健福祉事業は、6訂のテキストまではほんの何行か記載されていましたが、7訂では記載されていませんから、そういう問題を出すのもどうかなあ、と思います。保健福祉事業は市町村特別給付と同じく第1号被保険者の保険料で賄いますから、保険料を抑えたい自治体が積極的に取り組むような事業にはなっていません。取り組んでいる自治体としては、高額介護サービス費資金貸し付け事業(中野区)とかがありますが、あまりないのではと思います。この問題を解くには、「これは違うよな」という消去法ですね。そうなると、3の日常生活自立支援事業は介護保険制度と違う事業であること、4の指定地域相談支援事業は障害者総合支援法に位置づけられた制度であることに気付けば、答えは1,2,5となります。
なお、保健福祉事業の根拠は次のとおりです。(もっとも今年は出題されないだろうけど)
介護保険法(保健福祉事業)
第百十五条の四十九  市町村は、地域支援事業のほか、要介護被保険者を現に介護する者の支援のために必要な事業、被保険者が要介護状態等となることを予防するために必要な事業、指定居宅サービス及び指定居宅介護支援の事業並びに介護保険施設の運営その他の保険給付のために必要な事業、被保険者が利用する介護給付等対象サービスのための費用に係る資金の貸付けその他の必要な事業を行うことができる。

ついでに、日常生活自立支援事業は、国庫補助事業であり、判断能力が不十分な方の①福祉サービスの利用援助(利用開始・終了手続き、苦情、住宅改修・利用料等)、②日常的金銭管理サービス(年金・福祉手当・医療費・税金・社会保険料・公共料金日用品等支払い、預金の返戻・解約・預け入れの手続き)、③書類等の預かりサービス(年金証書・預貯金の通帳・権利証・保険証書・実印・銀行印の預かり)などを行う事業です。

地域相談支援事業は、障害者の施設などからの「地域移行支援」、地域に移ってから落ち着くまでの「地域定着支援」があり、事業の実施者は、都道府県、指定都市、中核市の指定を受ける必要があります。

問題2 介護保険法における介護支援専門員の義務として正しいものはどれか。2つ選べ。
1 資質向上努力義務
2 サービス事業者指導義務
3 基準遵守義務
4 要介護度改善義務
5 保険者協力義務

これはさほど難しい問題ではありませんね。2のサービス事業者指導事務、これはむろんケアマネの権限ではなく保険者の権限です。4の要介護度改善義務も、義務としてあったら違反続出となりますね。5の保険者協力義務はちょっと紛らわしいですが、居宅介護支援事業所や居宅サービス事業所には運営基準(第3条)で「市町村等との連携に努めなければならない」という連携義務はありますが、介護支援専門員個人についてはありません。答えは1・3です。
介護支援専門員の義務として法で位置づけられているのは、①公正・誠実な業務遂行義務、②基準遵守義務、③資質向上努力義務、④介護支援専門員証の不正使用の禁止、⑤名義貸しの禁止、⑥信用失墜行為の禁止、⑦秘密保持義務です。

問題3 指定介護老人福祉施設について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 入所定員は、30人以上である。
2 特別養護老人ホームの開設者でなければ、指定を受けることはできない。
3 都道府県知事が指定する。
4 市町村は、設置できない。
5 地方独立行政法人は、設置できない。

これは選択肢5がいやらしい問題。1の指定介護老人福祉施設の入所定員は30名以上です。30名未満だと、「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」(いわゆる地域密着型特養)になるので。2はそのとおりで、老人福祉法で特別養護老人ホームの設置認可を受けた者が、介護保険法で介護老人福祉施設として指定されることになります。4は間違い。市町村立の特養ホームがあります。5の「地域独立行政法人は設置できない」ですが、基本テキストには「事業主体が、原則として、地方公共団体と社会福祉法人に限定されています」と書いているので、この選択肢は〇と思われた方もいるのではないでしょうか。老人福祉法15条には独立行政法人も位置づけられてますが、そこまで勉強しないよなあ、という感じ。答えは1・2・3です。

問題4 一般介護予防事業の種類として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 介護予防住宅環境整備事業
2 介護予防普及啓発事業
3 家族介護支援事業
4 介護予防把握事業
5 地域リハビリテーション活動支援事業

一般介護予防事業は新しく位置づけられたので、やはり出題されました。私の受験対策講座でも強調していたところです。
まあ、覚えるしかないのですが、「忘れたけどどうだったっけ」なんて場合も多いでしょう。推理的に結論を導き出すと、まず違うなあと思うのは、4の家族介護支援事業。これは一般の方相手の介護予防事業としては変だよなあ、となる。次に2と4はどうみても正しいだろう、と見ると1か5が残る。1は介護予防のための住宅環境整備ってなんだろう、イメージがわかないなあ、という感じで、5は地域を相手にしていてしかも介護予防にはリハビリの視点が大事となると、1よりは5の方がふさわしそうな気がする。ということで導き出した答えが2・4・5となりました。以下、私のテキストから引用します・
一般介護予防事業
・一般介護予防事業の対象者はすべての65歳以上の高齢者およびその支援のための活動にかかわる者となっている。
・一般介護予防事業は5つの事業より構成されるが、事業内容等は市町村によって異なる。
事業内容
①介護予防把握事業:地域の実情に応じて収集した情報等の活用により、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を把握し、介護予防活動へつなげる。
②介護予防普及啓発事業:介護予防活動の普及・啓発を行う。
③地域介護予防活動支援事業:地域における住民主体の介護予防活動の育成・支援を行う。
④一般介護予防事業評価事業:介護保険事業計画に定める目標値の達成状況等の検証を行い、一般介護予防事業の事業評価を行う。
⑤地域リハビリテーション活動支援事業:地域における介護予防の取り組みを機能強化するために、通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場等へのリハビリテーション専門職等の関与を促進する。

問題5 介護予防・日常生活支援総合事業について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 介護給付費適正化事業を含む。
2 包括的支援事業の1つである。
3 地域支援事業の1つである。
4 要介護の第1号被保険者も対象である。
5 第1号生活支援事業と第2号生活支援事業がある。

今年も間違いなく総合事業の問題は出題されるでしょう。きちっと押さえておきたいところです。
この問題は、なかなか良問だと思います。紛らわしい選択肢がちりばめられていて、きちんと把握しないと解けないですね。まず、3の地域支援事業の1つである(〇)、は前提として、地域支援事業は、①介護予防日常生活支援総合事業、②包括的支援事業、③任意事業に分かれます。だから選択肢2は×。1の介護給付費適正化事業は任意事業であるので×。4の「要介護の第1号被保険者も対象である」(○)は紛らわしいが、総合事業のうち一般介護予防事業はすべての高齢者が対象です。5の「第1号生活支援事業と第2号生活支援事業がある」(×)は、第2号事業は存在しないので迷彩の選択肢ですね。

地域支援事業などの発展問題をいくつか考えて見ましたのでチャレンジしてみてください。

模擬問題1 地域支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 介護予防事業の一般介護予防事業対象者は、市民であれば誰でもよい。
2 介護予防・日常生活支援総合事業は、市町村特別給付である。
3 包括的支援事業として、権利擁護事業が位置づけられている。
4 市町村が介護予防日常生活支援総合事業を委託できるのは、地域包括支援センターに限られない。
5 地域支援事業には必須事業と任意事業があるが、介護給付費適正化事業は必須事業である。

模擬問題2 地域支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。

1 介護予防・日常生活支援総合事業では、利用料を請求することができる。
2 地域支援事業は、その財源を1号保険料以外は公費に求めている。
3 介護予防・日常生活支援総合事業では、訪問型サービスCに訪問看護を位置づけている。
4 包括的支援事業では、被保険者を対象に総合相談支援を行う。
5 40歳未満の障害者も地域支援事業の対象者と位置づけられている。

答えは次回に。(多分1週間後くらい)

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