介護支援専門員受験対策講座(4)・最終

受験対策講座(4)

さて、前回の模擬問題から見ましょう。
問題1 介護保険法と他の法による給付との調整に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 65才以上の人が業務上の事由で要介護状態となった場合は、介護保険の給付が労災保険の給付に優先する。
2 第三者が起こした交通事故が原因で要介護状態となった場合は、自賠責保険等による損害賠償で対応できる範囲については、市町村は介護保険給付を行う責任を免れる。
3 障害者総合支援法による自立支援給付で居宅介護を利用していた障害者が65才になった場合、引き続き自立支援給付を優先して受けられる。
4 末期がんの要介護者は、特別訪問看護指示書などの要件を満たせば、介護保険給付で週4日以上の訪問看護を受けることができる。
5 特別養護老人ホームは介護保険法で契約による入所の施設となったので、老人福祉法に基づく市町村による措置で入所することはできない。

<解説>
1.不適切。労務災害はまず労災保険で対応するのが原則である。他に介護保険に優先する給付として、公務災害に対する補償の給付、国家補償的給付(戦争傷病者、原爆被害者など)、医療観察法の給付などがある。
2 適切。損害賠償について示談が成立した場合は、その示談額内で保険給付が免責される。
3 不適切。65才以上になると介護保険による給付が優先する法的仕組みとなっている。ただし、強制的に介護保険に切り替わることについては、厚労省は「一律に介護保険サービスを優先的に利用するものとはしない」(総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について・平成26年3月31日通知)としている。
4.不適切。末期がんの要介護者が特別訪問看護指示書で受けられる訪問看護は、医療保険からの給付となる。
5.不適切。やむをえない事由により介護保険による契約ができない場合には、例外的に老人福祉法に基づき市町村の措置による入所ができる。主に虐待対応の場合などが考えられる。

問題2 介護保険制度の事業者運営に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 訪問看護の管理者は、保健師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれかの資格を有していなければならない。
2 社会福祉士の資格を有する者は、福祉用具貸与事業所の福祉用具専門相談員となることができる。
3 通所介護で宿泊サービスを行うことは認められていない。
4 介護支援専門員が居宅サービス計画に通所リハビリテーションを位置づける場合、特定の事業所に7割以上集中させると、居宅介護支援の介護報酬が減算となる。
5 地域密着型サービスの外部評価は、認知症対応型共同生活介護事業所と小規模多機能型居宅介護事業所、地域密着型特定施設入居者生活介護事業所を対象としている。

<解説>
1.不適切。訪問看護の管理者は、保健師、または看護師の資格を有するものであって、リハビリテーション専門職の資格は位置づけられていない。
2.適切。福祉用具専門相談員の資格は、保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士の資格を有するか、福祉用具専門相談員指定講習修了者となっている。
3 不適切。通所介護での宿泊サービスにはそれなりのニーズがあることから、平成27年度から届け出制が導入された。また、介護サービス情報の公表の対象ともなった。
4 不適切。特定事業所集中減算の説明であるが、現在は8割以上の集中で減算となる。また、事業所が少ないなどの正当な理由があれば、減算対象とはならない。
5 不適切。地域密着型サービスの運営基準改正により、平成27年度からの外部評価は認知症対応型共同生活介護事業所のみとなった。また、もともと地域密着型特定施設入居者生活介護事業所は対象ではなかった。

問題3 介護保険制度における低所得者対策に関する次の記述のうち、最も適切なものを2つ選びなさい。
1 介護保険制度では、利用者のための低所得者対策はあるが、被保険者のための低所得者対策はない。
2 高額介護(介護予防)サービス費は、福祉用具購入費にも適用される。
3 特定入所者介護サービス費は、市町村民税世帯非課税等の利用者を対象としているが、入所者が世帯非課税であっても単身で1,000万円超の預貯金等を保有している場合には、対象外となる。
4 高額医療合算介護(介護予防)サービス費は、介護と医療それぞれの負担が重い世帯のために、介護・医療の世帯負担額に年単位で上限を設けて負担軽減を図る制度である。
5 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度を利用すると、社会福祉法人が提供するすべての介護保険サービスについて、利用料が4分の1軽減される。

<解説>
1.不適切。保険料は所得段階により料率が設定されており、低所得者の保険料は基準より安くなるよう設計されている。
2.不適切。高額介護(介護予防)サービス費が適用されるのは、介護サービス費用の定率負担(1割・2割)であるが、福祉用具購入費、住宅改修費の定率負担には適用されない。
3.適切。平成27年8月から、①配偶者(世帯分離をしている場合を含む)が課税されている場合、②単身で1,000万円超、夫婦で2,000万円超の預貯金等を保有している場合には、特定入所者介護サービス費(補足給付)の対象外となった。
4 適切。合算制度では、世帯の1年間の介護保険の利用者負担と医療保険・後期高齢者医療の一部負担金等を合算した額が、所得区分に応じた世帯の負担限度額を超えたとき、超えた分がそれぞれの制度から払い戻される。
5 不適切。社会福祉法人等による利用者負担軽減制度は、その社会福祉法人が提供する福祉系サービス(定期巡回随時対応型訪問介護看護など医療系サービスの一部も含む)について減免が受けられる。訪問看護、通所リハビリテーション、老人保健施設などの医療系サービスは対象外である。

さて、昨年度の問題の解説の続きです。

問題19 介護支援専門員が指定居宅サービス事業者に対して提出を求めるものとさている個別サービス計画として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 訪問介護計画
2 訪問入浴介護計画
3 訪問看護計画
4 訪問リハビリテーション計画
5 居宅療養管理指導計画
 
 新しく義務付けされた運営基準の一部で、介護支援専門員は居宅サービス事業者のサービス計画を求めることとなりました。さっそく問題に出たわけです。答えは1,3,4です。選択肢2の訪問入浴はサービス計画が必須ではありません。また、選択肢5はどう見ても違うでしょう(医師に求めるほどの力関係ではない?)。

問題20 医師が行う指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 介護認定審査会に対し、療養上の留意点に関する意見を述べる。
2 居宅介護支援事業者の求めに応じ、居宅サービス計画作成に必要な情報提供を行う。
3 居宅サービス計画作成に必要な情報提供は、原則として、サービス担当者会議に参加して行う。
4 利用者に提供した内容を居宅介護支援事業者に報告しなければならない。
5 利用者の家族に対して介護方法の指導を行う。

選択肢1はもちろん×。この内容は医師の意見書のことですね。答えは2,3,5ですが、選択肢4がちょっと迷います。正確にはケアプランを作成した介護支援専門員への情報提供ということになります。情報提供しないと居宅療養指導の算定はできません。しかし、紛らわしい問題です。このような問題は、より確実な選択肢を選んでいくしかありませんね。

問題21 利用定員が10人を超える指定通所介護事業者が置かなければならない従業者として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 看護職員
2 健康運動指導士
3 生活相談員
4 栄養士
5 機能訓練指導員

これはどちらかというと福祉サービス分野の問題ですが、免除規定がなくなったので、福祉職の方も勉強してきたところではあると思いますが。とはいえ細かい問題なので、きちんと覚えている人はさほどいないでしょうから、想像で正答に近づくしかありません。まず、通所介護に必須の人員とそうでない人員を想像すると、栄養士と健康運動指導士は違うだろうと出てくるのではないでしょうか。答えは1,3,5です。

問題22 介護予防支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 事業所の管理者は、主任介護支援専門員でなければならない。
2 介護予防サービス計画は、主任介護支援専門員が作成しなければならない。
3 経験のある介護福祉士を配置しなければならない。
4 業務の一部を指定居宅介護支援事業者に委託できる。
5 介護予防サービス計画には、地域住民による自発的なサービスも位置付けるよう努めなければならない。

選択肢1の介護予防支援の管理者は特に定めはなく地域包括支援センターの職員であればいいこととなっています。居宅介護支援事業所の場合は管理者は介護支援専門員でなければならないですが。選択肢2の介護予防サービス計画は、地域包括支援センターに配置されている3職種であれば問題ありません。なお、居宅介護支援事業所に委託する場合は担当者は介護支援専門員でなければなりません。選択肢3の介護福祉士の配置は義務づけられていません。答えは4,5です。
 
問題23 居宅サービス計画の実施状況の把握(以下「モニタリング」)という。)について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 同居家族がいる場合は、家族との面接を実施しなければならない。
2 定期的にサービス提供者との面接を実施しなければならない。
3 モニタリングの結果は、少なくとも1月に1回記録しなければならない。
4 モニタリング標準項目は、厚生労働省から提示される。
5 モニタリングを行い、必要に応じて居宅サービス計画を変更するものとする。

ちょっと紛らわしい問題です。選択肢1は、家族との面接は義務づけられていません。あくまで本人との面接です。でも家族との面接はした方がいいですよね。まあ、家族が稼働していて会えないということもありますが。選択肢2が紛らわしい。定期的にサービス事業者との面接は義務づけられていませんが、なるべく行った方がいいですね。一方、介護予防支援では、介護予防サービス事業者に対し少なくとも1月に1回サービスの提供状況や利用者の状態に関する報告を聴取することとなっております。選択肢4は、モニタリングの標準項目というものは示されていません。アセスメントの標準項目は示されていますが。答えは3,5です。

以上で介護支援分野の解説を終わります。

藻疑問題にチャレンジしてみてください。

問題1 地域包括ケアシステムを推進するための事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「地域ケア会議」は、その地域での地域包括ケアをどう構築するかということを課題としており、個別ケースの支援内容には踏み込まない。
2 認知症初期集中支援チームでは、利用者の主治医からの紹介により地域包括支援センターの保健師と居宅介護支援事業所の担当の介護支援専門員が利用者宅を訪問する。
3 市民後見人の育成にあたっては、法務局が各地域の家庭裁判所と連携を取って養成研修を行う。
4 介護予防・日常生活支援総合事業では、生活支援サービスなどに高齢者の社会参加が期待されている。
5 生活支援コーディネーターは、要介護者個々人の生活のコーディネートをするもので、介護支援専門員との連携が必要である。

問題2 地域包括支援センターの業務に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 地域包括支援センターが担う権利擁護事業には、成年後見制度の活用促進や老人福祉施設等への措置の支援が含まれる。
2 地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、リハビリ専門職が配置されることとなっている。
3 地域包括支援センターが担う包括的支援事業には、介護給付費の適正化事業が含まれる。
4 地域包括支援センターには、認知症初期集中支援チームの設置が義務づけられている。
5 生活支援体制整備事業に基づく生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)は、地域包括支援センターに配置されている。

解答:問題1:4 問題2:1

以上で、ケアサポリンクの今年度の受験対策講座は終わります。皆様の合格を祈念します。 

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