ケアマネ受験対策講座(2)

更新が遅れすみません。第2回目です。
前回の模擬問題から見ましょう。

模擬問題1 地域支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 介護予防事業の一般介護予防事業対象者は、市民であれば誰でもよい。
2 介護予防・日常生活支援総合事業は、市町村特別給付である。
3 包括的支援事業として、権利擁護事業が位置づけられている。
4 市町村が介護予防日常生活支援総合事業を委託できるのは、地域包括支援センターに限られない。
5 地域支援事業には必須事業と任意事業があるが、介護給付費適正化事業は必須事業である。

答えは3・4ですね。選択肢1の一般介護予防事業の対象者は、すべての65歳以上の高齢者及びその支援のための活動にかかわる者となっています(私のテキスト63頁参照)。つまり、第2号被保険者等を対象としているわけではありません。選択肢2の総合事業は市町村が行うべき事業として位置づけられていて、市町村特別給付(いわゆる横だしサービス・同37頁参照)のように任意に市町村が定める事業ではありません。選択肢5の介護給付費適正化事業(ケアプラン点検事業など)は任意事業です(同63頁参照)。実際取り組んでいない市町村も多いです。選択肢3はそのとおりで、選択肢4の総合事業については、訪問型サービスA・Bや通所型サービスA・Bなどには、従来の事業者やボランティアなどの参入が期待されています。

模擬問題2 地域支援事業について正しいものはどれか。2つ選べ。

1 介護予防・日常生活支援総合事業では、利用料を請求することができる。
2 地域支援事業は、その財源を1号保険料以外は公費に求めている。
3 介護予防・日常生活支援総合事業では、訪問型サービスCに訪問看護を位置づけている。
4 包括的支援事業では、被保険者を対象に総合相談支援を行う。
5 40歳未満の障害者も地域支援事業の対象者と位置づけられている。

答えは1・4ですね。選択肢1の総合事業では利用料を求めることができますし、多くの場合負担額があるでしょう。選択肢2の地域支援事業の3つの事業の財源構成ですが、①介護予防・日常生活支援総合事業は2号被保険者の保険料が入ります。②包括的支援事業と③任意事業は1号保険料と公費で構成されています。選択肢3の訪問型サービスCというのは保健師等による居宅での相談指導等のサービスであり訪問看護とは違います。選択肢4はその通りで、地域包括支援センターの業務です。選択肢5は、40歳未満の方はそもそも介護保険の被保険者ではないので対象外です。

では、昨年の問題の続きを見ていきましょう。

問題6 包括的支援事業の事業として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 総合相談支援
2 包括的・継続的ケアマネジメント支援
3 第一号訪問事業
4 権利擁護
5 介護予防リハビリマネジメント

地域支援事業関係は、これからの介護保険の政策的なキモですので、必ず出題されるし、きちんと覚えましょう。地域支援事業には3つの事業があることは先に書きましたが、そのうち包括的支援事業は、地域包括支援センターの事業として、①介護予防ケアマネジメント、②総合相談支援業務、③権利擁護業務、④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務の4つの事業(業務)があり、改正によりこの中に地域ケア会議の開催が位置づけられました。また、昨年度改正で新たに付け加えられた3つの新しい事業として、⑤在宅医療・介護連携推進事業、⑥認知症総合支援事業(認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員など)、⑦生活支援体制整備事業(生活コーディネーターの配置、協議体の設置など)があります。
そうなると、答えは1,2,4となります。選択肢3の第1号訪問事業は、地域支援事業ではありますが、その中の介護予防・日常生活支援総合事業の中の介護予防・生活支援サービス事業の一部です。選択肢5の介護予防リハビリマネジメントという事業はありません。同じく介護予防・日常生活支援総合事業の中には介護予防ケアマネジメントという事業があり、混同を狙った選択肢でしょうか。

問題7 介護サービス情報の公表制度について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 介護予防サービスに係る情報の公表は、市町村長が行う。
2 地域密着サービスに係る情報の公表は、市町村長が行う。
3 調整事務は、市町村長が行う。
4 調査機関の指定は、都道府県知事が行う。
5 利用者のサービス選択に資するために行う。

介護サービス情報の公表も5年連続出題されているし、覚える内容も簡単です。この問題も易問でした。介護サービス情報の公表はすべての介護保険サービスについての調査や公表の権限は都道府県知事です。ですから選択肢1,2,3は×です。答えは4,5です。
ただ、昨年度から市町村は、地域包括支援センターに関する情報を公表するよう努めることとなりました。また、市町村は生活支援事業者から提供を受けた介護保険外のサービスの情報も公表するよう努めることとなりましたので、ここは出題されるかもしれませんね。
また、他に公表すべき事項は、都道府県が任意に定めることができます。
2つ以上のサービスを一体的に運営している場合は、共通しているサービスの報告については一体的に報告することができます。例:訪問介護と夜間対応訪問介護、訪問看護と療養通所介護など。

問題8 国民健康保険団体連合会の業務について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 広域保険者を監督する。
2 介護給付費等審査委員会の委員を委嘱する。
3 指定居宅介護支援事業を運営することができる。
4 介護保険施設を運営することができる。
5 指定地域密着型サービス事業を運営することはできない。

国保連に関する問題は、10,11,12年と続けて出題されましたが、13,14年はなく、昨年久々に出題されました。ここも覚える内容はそれほどありません。国保連は、介護報酬の請求先であったり苦情処理する機関であったりするので、介護保険サービスを運営することは奇異に感じられるかもしれませんが、運営することができると覚えておいてください。この問題は過去何回も出てきています(確かに市町村国保は介護事業を運営しているところも多いですが、連合会でやっているところはあるのだろうか?)。ですから、選択肢3と4は〇で、5は×となります。選択肢1は、都道府県の権限です。選択肢2はそのとおりで、国保連には介護給付費等審査委員会が設置されます。給付費審査委員会は、それぞれ同数の①介護給付等対象サービス担当者または総合事業担当者代表委員(関係団体の推薦が必要)、②市町村代表委員(関係団体の推薦が必要)、③公益代表委員により構成されます。委員は国保連が委嘱し、任期は2年です。公益代表委員から会長を選出し、委員会は、都道府県知事の承認を得てサービス事業者、施設に対して、報告、帳簿書類の提出や管理者やサービス担当者等の出頭または説明を求めることができます。

問題9 介護保険法における消滅時効について正しいものはどれか。3つ選べ。
1 サービス事業者の介護報酬の請求権は、5年である。
2 償還払い方式による保険給付費の請求権は、2年である。
3 法定代理受領方式による介護給付費の請求権は、2年である。
4 償還払い方式の場合の起算日は、利用者が介護サービスの費用を支払った日である。
5 介護保険料の督促は、時効中断の効力を生ずる。

これはレアな問題でした。過去に出題されたことは選択肢としてはあったと思いますが、問題そのものとしての出題は過去8年間はなかったはずです。難問というか奇問ですね。
①保険料、介護給付費等の徴収金を徴収する権利、②前記の徴収金の還付を受ける権利、③保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは時効によって消滅します。これを消滅時効といいます。例えば被保険者が住宅改修などの償還払いを受ける権利やサービス提供事業者が法定代理受領として介護給付費を請求する権利なども消滅時効は2年です。
ですから、選択肢1は×、2,3は〇です。
以上に対し、市町村が介護報酬を過払いした場合(不正請求含む)の返還請求権の時効は、公法上の債権と考えられていることから5年となります(地方自治法による)。
また、市町村からの保険料の督促があった場合等は時効中断の効力を有するので、5は〇です。
 4の選択肢は難しい。基本テキストでは「被保険者がサービス費用を支払った日の翌日」と記載されていますが、重箱の隅をつつくような後味が悪い問題でした。消去法で正解にたどり着けるかどうか。答えは2,3,5です。

問題10 介護保険法において市町村の条例で定めるものはどれか。2つ選べ。
1 介護保険審査会の委員の定数。
2 普通徴収に係る保険料の納期
3 第一号被保険者の保険料率
4 指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準。
5 区分支給限度基準を上回る額の種類支給限度基準額の設定。

これは、私の受験対策では強調しておいたところですが、細かな知識がなくても解けます。選択肢1の介護保険審査会は都道府県に置かれるので×。介護認定審査会なら〇ですが。選択肢4は、都道府県が決めるから×。ただし、地域密着型介護老人施設入所者生活介護(いわゆる地域密着型特養)は市町村が定めます。選択肢5は、種類支給限度額そのものが区分支給限度額の範囲内で決めるものなので×となります。答えは2、3です。
ちなみに市町村が条例で定めることになっているのは、サービス提供事業者等の人員・設備・運営に関する基準として、①基準該当介護予防支援、②指定地域密着型サービス、③指定地域密着型介護予防サービス、④指定介護予防支援です。なお2018年度からは居宅介護支援の運営基準が市町村に委任されます。
他に、市町村が条例で定めるべき事項は次のとおりです。
 ①介護認定審査会の委員の定数
②区分支給限度基準額・住宅改修費および福祉用具購入費支給限度基準額の上乗せ
③種類支給限度基準額の設定
 ④市町村特別給付
⑤指定地域密着型介護老人福祉施設の入所定員
⑥地域包括支援センターの基準
⑦第1号被保険者に対する保険料率の算定
⑧普通徴収にかかる保険料の納期
⑨保険料の減免や徴収猶予、その他保険料の賦課徴収、過料等に関する事項
この分野での発展問題をいくつか考えて見ましたのでチャレンジしてみてください。

模擬問題3 介護サービス情報の公表について正しいものはどれか。2つ選べ。
1 市町村は、地域包括支援センターに関する情報を公表するよう努めなければならない。2 市町村は、介護サービス情報公表センターを指定することができる。
3 介護保険外のサービスは介護サービス情報の公表の対象外である。
4 公表すべき運営情報には、身体拘束を廃止する取り組みの有無は含まれない。
5 2つ以上のサービスを一体的に運営している場合は、共通しているサービスの報告については一体的に報告することができる。

模擬問題4 介護保険法において都道府県の条例で定めるものはどれか。3つ選べ。
1 介護支援専門員実務研修受講試験問題の作成手数料
2 介護保険審査会の公益代表委員の定数
3 基準該当居宅サービスの運営に関する基準
4 指定介護予防支援の運営に関する基準
5 介護認定審査会の委員の定数

模擬問題5 介護予防・日常生活支援総合事業の事業として正しいものはどれか。3つ選べ。
1 第1号通所事業
2 生活支援コーディネーターの配置
3 介護予防ケアマネジメント
4 在宅医療・介護連携推進
5 地域介護予防活動支援

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